土地取得に「国籍の届出義務」が追加
― 2025年10月施行の土地取引の透明性を高める新ルール ―
2025年10月から、土地取引を行う際に 「取得者の国籍」を届出する義務 が新たに導入されました。
これは国土利用計画法施行規則の改正によるもので、一定規模以上の土地取引に関する事後届出に「国籍」欄が追加される形です。
近年、
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自衛隊基地や重要インフラ施設周辺
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水源地・森林地域
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国境離島や観光地
などにおける外国資本の土地取得とそのトラブルに関するニュースが社会的関心を集めており、土地利用の透明性確保と安全保障の観点から今回の改正が行われました。
■ 1. 今回の改正で何が変わるのか
改正の核心は、土地取引届出に 「取得者の国籍」 を記載する欄が新設される点です。
従来の届出内容は、
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面積
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契約内容
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利用目的
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当事者の基本情報
などが中心でしたが、
今後は 誰が(どの国籍の者が)土地を取得したのか を行政が正確に把握できるようになります。
■ 2. 届出が必要となる土地の規模
面積基準そのものは従来どおり変更されていません。
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都市計画区域:2,000㎡以上
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非線引き区域:5,000㎡以上
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都市計画区域外:10,000㎡以上
これらを超える規模の大きな土地を取得した場合、
契約締結後2週間以内に都道府県知事への届出が必要です。
今回の改正は「国籍欄の追加」であり、届出制度の基本枠組みは従来のままです。
■ 3. 外国法人・日本法人名義での取得に関する注意点
今回の改正で導入される「国籍の届出」は、あくまで 土地を取得する主体の“名義上の国籍” を記載する制度です。
そのため、外国資本が出資する企業であっても、日本法人名義で土地を取得する場合は、届出上の国籍は“日本”と記載されます。
これは制度上の取り扱いとして明確ですが、
一方で土地の場所が重要施設周辺にある場合や、所有形態が複雑な場合には、次のような追加確認が行われる可能性があります。
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出資や会社の意思決定に関わる主要な人物
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出資比率・議決権構造
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海外資本の影響度
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取得目的の合理性
これらは、届出制度そのものの要件ではなく、都道府県や国の安全保障関連部局が必要に応じて行う確認に位置付けられます。
法律上👉日本法人名義であれば届出国籍は「日本」
行政実務上👉重要地域では、法人の背景を求められる可能性あり
企業側のできる準備としては、出資関係や会社の意思決定など法人の背景ついて説明できる状態を整えておくことが、リスク管理として望ましいと言えます。
■ 4. 誰が届出を受理し、どこが調査に関わるのか
一般には「当局」と表現されることが多い部分ですが、実務的には次のように整理されます。
● 届出窓口
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都道府県知事(担当部署:土地利用調整課・都市計画課など)
● 必要に応じて調査・情報共有される機関
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内閣府(重要施設周辺土地調査)
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防衛省(基地・駐屯地周辺の土地利用)
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経済安全保障関連の国の部局
届出 → 都道府県知事 → 必要に応じて国に情報共有
という流れになります。特に重要施設周辺では、国の部局が確認を行う可能性があります。
■ 5. 今後、届出対象が拡大する可能性について
今回の「国籍の届出義務」は、大規模な土地取引に限定した制度ですが、
国会では土地の安全保障に関する制度全体を見直す議論が続いています。
特に、
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「重要施設周辺の土地調査」を定めた重要土地等調査法
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経済安全保障分野の法整備(重要インフラ保全・基幹施設周辺の管理強化)
などと連動する形で、
国籍届出の対象範囲を将来的に拡大するべきか
重要地域に限定して別途の許可制・届出制を導入するべきか
といった議論が国の審議会や国会調査室でも取り上げられています。
(参照:参議院調査室「安全保障と土地利用に関する最近の議論」など)
現時点では「大規模な土地取得」に限定されていますが、
今後、
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空港・港湾
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自衛隊基地・重要インフラ
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国境離島
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水源地・森林地域
といった 重要地域における比較的“小規模の土地取引”にも届出を求める制度 が検討対象に挙がる可能性があります。
これらはまだ法案化されていない段階ですが、
国籍届出義務が「今回の改正で終わり」ではなく、
国の安全保障政策の流れの中で段階的に整備が進む見通し は押さえておくべきポイントと言えます。
土地取引に関わる事業者・個人としては、
今のうちから制度の動向を把握し、必要な届出や面積基準の確認を習慣化しておくことが安全です。
■ 6. 行政書士ができるサポート
今回の国籍届出義務化は、大規模な土地取引を行うさまざまな場面に影響するため、必然的に行政書士が関わる場面も増えます。
● 大規模土地取得(太陽光発電など)
👉土地面積が大きく届出基準を超える案件では、事前確認や書類作成が不可欠です。
● 農地転用を伴う土地取得
👉農地 → 宅地 → 事業用地 と進む過程で、最終的な面積が届出対象となることがあります。
● 外資系企業の新規進出・工場用地の取得
👉海外資本による土地取得は、国籍情報の扱いを含め慎重な準備が求められます。
● 山林・別荘・宿泊施設用地の取得
👉外国人個人による地方・観光地での購入が増えており、届出の対象となるケースがあります。
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面積基準の確認
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届出要否の判断
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提出書類の作成
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国籍記載の適切性チェック
などを通じて、企業・個人の取引リスクを軽減する役割を行政書士が担うことができます。
■ 7. 届出を怠った場合のリスク
届出を行わなかった場合、
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都道府県知事による報告徴求
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命令違反時の過料(罰則)
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取引の遅延
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今後の取引時の信用低下
などの影響が生じる可能性があります。
特に外国人・外国法人が関与する場合、制度の性質上「知らなかった」では済まないこともあります。
■ 8. まとめ
2025年10月の国籍届出義務化によって、土地取引の透明性はこれまで以上に重要になります。
不動産会社、事業者、外国人の方々にとっても、制度の正しい理解と事前準備が不可欠です。
行政書士は、土地利用手続きや届出のサポートを通じて、取引の円滑化とリスク管理に貢献できます。
土地取得に関して分からないことがございましたら、ぜひご相談ください。
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👨💼 行政書士 須田充(愛知県行政書士会所属)

