外国人社員の“永住申請”を考えるときに知っておきたい5つのこと
■なぜ永住申請をテーマに?企業にとっても“メリット”があるから
これまでのコラムでは、特定技能や育成就労といった「外国人雇用の入口」について取り上げてきました。
しかし実際の現場では、雇用した外国人が長く定着し、企業の戦力として活躍してくれることこそが最も重要です。
そのためには、「一時的な在留資格」での雇用だけでなく、永住権の取得によって安定した生活基盤を築くことが、本人はもちろん企業側にも大きなメリットをもたらします。
たとえば、永住者になれば…
- 毎回の在留期間更新や書類準備の負担がなくなる
- 転職や昇進時の制限がなくなり、より柔軟な人材配置が可能に
- 家族との帯同もスムーズになり、精神的にも安定
- 将来的な幹部候補としての育成や定着の見込みが立てやすい
こうした背景から、今回は「永住申請を考えている外国人が知っておきたい5つのこと」というテーマで、実務に即したポイントをご紹介していきます。
1. 永住申請には“安定的な収入”が必要です
日本で永住権を取得するためには、継続的で安定した収入が必要不可欠です。
目安としては、年間収入が300万円以上(家族がいる場合は加算)とされ、単年での高収入よりも「安定性」が重視されます。
企業としては、
- 雇用契約が正社員・無期契約であること
- 月給ベースで継続した給与支払いがされていること などが、申請者の信用性を高める材料になります。
2. 納税・年金・保険の“義務履行”が問われます
永住申請では、過去に遡って納税・保険料の滞納がないかが厳しく審査されます。
企業が社会保険の適用事業所であるにもかかわらず、外国人従業員を未加入のままにしているケースは申請時に不利となります。
また、住民税の納付状況も審査対象であり、支払い証明書の提出が求められます。
3. 在留歴と在留状況の“良好さ”が求められます
原則として、永住申請は「引き続き10年以上の在留歴」が必要です。
ただし、就労系の在留資格(技・人・国など)で5年以上継続していることも大きなポイントになります。
企業としては、
- 勤怠不良や処分歴がないこと
- 雇用継続に支障のない労働環境を整えていること が重要です。
4. 永住者になると「転職・起業の自由」が広がります
永住資格を得た外国人は、在留資格の縛りがなくなるため、転職・副業・起業・業種転換などが自由になります。
これは企業にとって「辞めてしまうのでは…?」という懸念にもなり得ますが、見方を変えればむしろ企業にとっての“信頼投資”のチャンスです。
たとえば:
- 長期雇用を前提とした人材育成ができる
- 幹部候補としてキャリアプランを共有しやすくなる
- 起業後も外注・業務提携などビジネスパートナーとして関係継続が可能
「永住申請を応援してくれた会社だから、恩を返したい」と感じる外国人も多く、支援を通じてより深い信頼関係を築ける機会にもなります。
実際に当事務所が支援させていただいた顧問企業様でも、10年以上勤務する外国人社員の方が永住権を取得されたケースがありました。 当初は「取得後に転職してしまうのでは」といった懸念もありましたが、むしろこれまで築いてきた信頼がそのまま定着につながり、今もなお重要な戦力として活躍されています。
このように、永住申請の支援は企業と外国人社員との関係性を再確認し、より良い形で深めていける契機にもなるのです。
5. 申請には“多岐にわたる書類”と専門的な対応が必要
永住申請には、
- 在留資格に関する書類
- 税証明・年金履歴・課税証明
- 勤務先企業の在職証明・源泉徴収票 など 多くの資料が必要となります。
また、申請書の書き方や添付資料の整合性・説明内容も非常に重要です。
当事務所では、
- 永住申請に向けた事前チェック
- 書類取得のサポート
- 理由書・経歴書などの作成支援
- 雇用主側への助言 など、トータルでの支援を行っております。
お問い合わせ
外国人社員の永住申請でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
申請者本人だけでなく、企業としての支援・協力体制までご提案いたします。
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👨💼 行政書士 須田充(愛知県行政書士会所属)